デンマークでの尺八サマースクールに参加して
デンマークで開催された尺八サマースクールに参加して(2017.7.27-7.30)(その1)
7月27日から30日までデンマーク、ヴァイレで尺八サマースクールが開催されました。今回、主催者の責任者キク・デイさんから錦風流本曲と越後明暗流尺八の指導を依頼され、7月25日に通訳の妻と共に川崎市新百合ヶ丘駅発、7時35分のリムジンバスで成田空港に向かいましたが、都内の高速道は大渋滞で午前10時30分にやっと成田空港に到着しました。地無し3尺管、2尺3寸管などの延管、楽器なので客室手荷物でと考えていましたが、国土交通省の規則により60cm以上は凶器とみなすとのことで、急遽、別途12.000円支払い、梱包をしてスーツケースと同じ貨物室になりました。アエロフロート航空でロシアで乗り継ぎ3時間が遅延で4時間になり、デンマークコペンハーゲンの空港に到着したら、自宅出発から実に23時間かかりました。空港にはキク・デイさんの弟子、マスさんが車で迎えに来てくれました。キク・デイさんの知人、エヴァさん宅にホームスティさせていただきました。エヴァさんの御主人はオランダ人でした。2階の寝室で休ませていただき、翌朝は、手作りの色々なパンを御馳走になりました。午前10時にはコペンハーゲン駅にキク・デイさんのお母さんが来てくれました。10年前まで日本人の観光ガイドをしていたとのこと。スリが多いので貴重品は車に置いて行動するようにと指示されました。市内の観光名所を案内していただき、エヴァさん宅に戻り、庭での楽しい昼食になりました。午後4時にマスさんの車に荷物を積み込み、280キロ離れたヴァイレに向かいました。高速道130キロ走行でも休憩を入れて3時間の旅、午後7時にサマースクールの学校に到着しました。夕食をいただき、2階の部屋に案内されました。中学生2名が宿泊できる部屋は二つの机とベッドが二つ、シャワーとトイレが部屋にありました。ここで研修中は妻と5泊することになりました。出発直前にキク・デイさんからスカンジナビアの天候について注意のメールがありました。日中は20℃、朝晩は10℃とのこと。冬物のパジャマを持参、長袖ばかり用意しましたが、まさに天候の変化が激しく、北アルプス上高地の夏のようでした。27日は教師の紹介から始まりました。今回は日本から私だけでした。ヨーロッパの人達は錦風流尺八に興味をもっているとのこで、午前中の錦風流尺八教室は大人気でした。夕方5時から私の虚無僧尺八の講演が75分予定され、台本も無い講演をスエーデンの尺八家・竹盟社ヨーロッパ支部長のリンデル氏に通訳をお願いしましたが、リンデル氏は東京芸術大学大学院卒で日本楽の大家、私の話に味をつけて英語で話してくれました。少し時間超過したら、夕食が冷めてしまうと連絡があり、6時30分に講演は終了し、夕食になりました。夜は11時ころまで明るいので、ついつい寝るのが遅くなりました。28日は朝6時に起床しました。外の気温は10℃でしょうか。寒いと感じるような状況でした。8時から食堂で朝食、いろいろなパンとチーズにサラミ、それに飲み物、普段は野菜をたくさん食べている生活では、大変なことです。妻は粉末青汁を準備していましたが、皆さん食事の後、飲みたいとのことで、まるで青汁のコマーシャルのようなことになりました。この日は夕方、授業が終わると、高速道で1時間かかるオーフスという町の教会でのコンサート。夕食は社内で石のように固いサンドイッチでした。堅いけれども、また味わいがあるパンでした。教師たちは先に到着してリハーサルをしました。生徒の皆さんはチャーターしたバスで後から到着しました。私がトップと最後を担当、地無し3尺管で阿字観を最後は太い2尺2寸管で錦風流調で終わりました。ヨーロッパの皆さんもこんな太い地無し管の音味は初めてだったようです。学校の宿舎に戻ったら午後11時でした。29日は午前6時に起床しました。外は雨降りです。セーターにジャンパーを着こんでの朝食になりました。ロシアとオランダから来ていた女性は他の教室には行かないで、すべて私の授業を受けました。キク・デイさんに断り、予定外の曲も指導をしたら喜んでくれました。この日は夜8時から地元ヴァイレの教会でのコンサート、教師は車で10分で移動、生徒の皆さんは徒歩で30分、教会に向かいました。こちらでは、私の地無し2尺2寸管の剛管での錦風流獅子で始まり、最後は地無し2尺3寸管での神保三谷で終わりました。本当の地無し管の音味を皆さんに聞いて頂けたことは、尺八の世界に大きな音ばかりの地付き管に比べての違いがわかったのではと思います。30日も午前6時に起床、8時から朝食を済ませて、9時から45分間のロ吹きに出席しました。45分間吹き続けるのは大変なことです。10時からは夕方からの生徒のコンサートの課題曲の指導をしました。無事にコンサートも終わり、夕食会のパーティーになってほっと一息でした。31日の朝は朝食後、皆さん、それぞれの郷里に向かい出発していきました。私と妻は、バイキングの石碑を見学、また帰り道にアンデルセンの生活した家、また離れた場所の生家も見学して、高速道経由でコペンハーゲンに戻り、午後7時にホームスティのエヴァさん宅に到着しました。この日はオランダから知人夫婦の方が来られていて、楽しい夕食会になりました。1日、エヴァさんの息子さんが焼いた色々なパンをいただき、午前10時にお別れをしてマスさんの車でコペンハーゲン空港に向かいました。ここでマスさんと別れました。帰りも尺八カバンを梱包して別荷物にするつもりでしたが、荷物を預けに行くと、尺八カバンの梱包の中身を聞かれたので、尺八の楽器だと返事をすると、機内に持ち込んで下さいとのこと。帰りは成田空港まで機内荷物で持ち帰ることができました。人生でこれだけ長い旅をしたことは初めてです。来年春には、次々とヨーロッパから日本に稽古に来たいとのメールをいただきました。妻が不在の時に対応できるように、三女の娘と英会話教室に通うことになりました。